さもありなん

ひねくれた美人のブログ

【覚悟のススメ】究極の肉体と技術と鎧と精神をもった漢たちの勢いがすごい漫画

 

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仮面ライダーという不朽の名作がある。
私は仮面ライダーが好きだし、変身ヒーロー・ヒロインものも好きだが普通の人間が変身して滅法強くなるという部分にはいささか疑問がある。

基本的に昭和ライダーは改造人間であり、平成ライダーでは技術や異生物の力によって変身する。

…耐えられるか???

昭和ライダーについては改造人間であり、頭脳・肉体ともに優秀という設定があり、敵も改造人間であるため、まあよい。
平成ライダーに関しては中身の肉体は貧弱~人間レベルでの優秀の範囲である普通の男性である。そこへ技術(外部コーティング、肉体強化)なり異生物の力で一時的に戦闘力を上げるというのはかなり肉体的に負荷がかかるのではないか。「ものすごく疲労・筋肉痛」というのでは済まないはずだ。
それに、彼らはほとんどが平和な時代しか知らず、死がいつも身近にあるとか、日常的に暴力を目の当たりにしているとかでもなく、命をかけた戦闘などしたことがあろうはずもない。仮面ライダーになったからといって急に凄惨な戦いにすぐに順応できるはずはないのだ。精神を病む。
平成ライダーはとても面白いが、納得いかない部分がある。

そこで【覚悟のススメ】である。
核戦争と環境汚染により、生命と秩序が破壊された世界が舞台。
週に一度赤外線プールに入り殺菌を行わなければ、汚染された環境で生きることもできない。

主人公である「葉隠 覚悟(はがくれ かくご)」は幼い頃から父より尋常ならざる戦闘訓練を受ける。
その身体には常人であれば1発打ちこまれるたびに死ぬほどの苦痛を味わう零式鉄球を8発埋め込んでいる。
死ぬほどの訓練を耐え抜き戦士となった覚悟は、ついに「強化外骨格 零(ぜろ)」を身にまとう時を迎える。
この強化外骨格は、変身ではなく「着装」するものであり、パワードスーツ。
この強化外骨格は生きた鎧であり、人体実験の犠牲となった英霊の宿る鎧である。
この鎧に宿る英霊と対話し、身も心も本物の戦士と認められなければ鎧の内部でバラバラに引き裂かれ肉塊と成り果てるのだ。
強化外骨格を身にまとうに値するのは、全ての生物を愛おしむ慈愛の心と牙無き人を守り抜く正義の魂を宿した人間だけなのである。

この漫画の中では、強化外骨格内で肉体が破損したり内臓が出たりするのだが、1本の犠牲でなんとかなりそうなら躊躇なく自分で手首から先を切り落とすし、どてっ腹に鉄を撃ち込まれて口から内臓が出たら噛み千切って「これで入った分チャラ」とか言ったりする。
覚悟は何のために戦ってるのか?といえば、それは「牙なき人の明日のため」なのだ。

そして覚悟が相対する敵も、愛のために戦っている。
その相手は、覚悟の実兄であり同じく「強化外骨格 霞(かすみ)」を美身体にまとう「葉隠 散(はらら)」。
性別を超え人間を捨てた美しき「現人鬼(あらひとおに)」である。
ちなみに、散様は常人なら1発で死ぬ零式鉄球を24個埋め込まれてるし正しいから死なない。
あまりの美しさと強さと優しさですべてを虜にするし、散様の燃えるくちづけを受けたものはただの人間や動物ではいられなくなる。
美しさは兵器。
散様は圧倒的カリスマでもって人外の不退転戦鬼(ふたいてんせんき)を率い、大いなる慈愛で地球を汚す人類完殺を目論むお方だ。
覚悟が大義(たいぎ)を掲げるのなら、散様は星義(せいぎ)。器が違うのである。

変身して強くなる!ではないのだ。
肉体と精神を極限まで磨き抜いた先に強さがある。
そしてその強さを支えるのは信念だ。

読みながら、こみあげる熱い気持ちを抑えられないだろう。
この時代にこそ読んでいただきたい名作だ。

G(ジャイアント)さらば!