さもありなん

ひねくれた美人のブログ

【幽☆遊☆白書】太陽がまた輝くとき

アニメ「幽☆遊☆白書」の第4期エンディングテーマです。
作詞・作曲・編曲は元チューリップのメンバーでもある故・高橋ひろさん。
最大のヒットとなった曲で、オリコン9位にもランクインしました。

アニメのEDとして使われていたのは84話(「蔵馬の怒り!正体は誰だ!?」)~102話(妖狐変化!忍び寄る殺意)です。
私は飛影に人生を狂わされた女ですので、映像つきのカラオケを歌っては映像に飛影が映るたび発狂しかけます。
この曲の映像では飛影がほぼ出てきませんが、言わずと知れた名曲で、高橋ひろさんの歌と映像が相まって最高に悲しく切ない歌です。
ちょっとセンチメンタルなときなんかに、つい口ずさんでしまいます。
特に自転車で夜の坂を下っているときですね。

 

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手紙が届いたら 封を切らずに
そっとしまっておいて 時がたてば
僕の今の気持ち きっとわかるはずさ
最初で最後のお願い
優しくなれるほど 強くもなくて
ひたむきに愚かに 抱きしめあったね
黄昏せまる頃 ここを去る背中に
遠くの窓から勇気の矢を射るよ
※外は雨が まだやまずに
濡れてる人々と街が それでも太陽信じてる
古いメロディ にじむシルエット
やわな生き様じゃとても 絵にはならないね

マーキュロ塗った後の しみる感じ
そんな懐かしさに あふれた日々
でも振り向かないで 君が決めた道は
君しか知らない夜明けに続いてる
※※忘れないで 忘れてくれ
今も君への想いは 嵐が逆巻く夜の海
むせび鳴いて 群はなれた
さまよう2人の道標(しるべ)は“希望”の2文字さ

愛する人にはいつも照れて言えないけど
本当は誰もが伝えたい心の声よ 今こそ届け

※Repeat
※※Repeat

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男性目線から見た別れた恋人たちの歌ですね。
アニメ映像では手紙を送るのは螢子であり、去っていくのは幽助ですが、歌詞では女性が去り、男性が手紙を送ります。
なぜ離れることになったのかは定かではありませんが、男性は別れても尚彼女のことを思っています。

「手紙が届いたら 封を切らずに そっとしまっておいて」
女性が男性からの手紙を受取り、読んでくれるだろうという前提で語られます。
そして、封を切らずにしまっておいて欲しいと思うのに手紙を出すことを止められない男性は、女性への思いを自分自身だけで抑え込むことができないのだと考えられます。

「優しくなれるほど 強くもなくて ひたむきに愚かに 抱きしめあったね 黄昏せまる頃 ここを去る背中に 遠くの窓から勇気の矢を射るよ」
女性の夢を理解できず、女性は男性よりも夢を選び別れたなどそんなところではないでしょうか。
別れることにはなったけど、自分のもとから去っていってしまうけど、女性に幸せになってほしいという気持ちに変わりはないと。

そして、去っていった女性だけれども、手紙が届く自分の住所は教えていったのです。
女性が男性のことを嫌いになったわけではないと、この歌詞で分かります。

 

「外は雨が まだやまずに 濡れてる人々と街が それでも太陽信じてる」

ここ…!!止まない雨はない、とかそういうのじゃないんです。
それでも太陽を信じてるんです。
黄昏がせまっている時間に雨が止んでいないということは、夜になっても人々と街は濡れたままでしょう。
夜になれば太陽は見えません。
それでも、長い夜が明けたとき、つまり、もう「君しか知らない夜明けに続いてる」んです。夜明けになっても雨が降っているのか、太陽が輝いているのかは、決して短くはない時間を経ないと分からないのです。

「マーキュロ」ご存知ですか?
私はこの歌でマーキュロが赤チン(とは言っても赤チンも見たことがありません)のことだと知りました。

「忘れないで 忘れてくれ 今も君への想いは 嵐が逆巻く夜の海 むせび鳴いて 群はなれた さまよう2人の道標(しるべ)は“希望”の2文字さ」

きましたね!!!

ここです!!!!

「忘れないで 忘れてくれ」=「手紙が届いたら 封を切らずにそっとしまっておいて」なんです。
2人が過ごした時間を女性に覚えていてほしい、反面、昔の恋人を断ち切ることもできない情けない男である自分のことなど忘れてしまってほしい…。

そして「嵐が逆巻く夜の海」!!
静かなイメージの夜の海に激しい嵐が逆巻いている…。相反する気持ちがないまぜになり、別れが揺るがないことは分かっているけれど、女性への未練の気持ちの整理がつかないのです。そして行き場をなくした思いのはけ口が手紙。
読んでほしくないのに破り捨てることもできず「時がたてば 僕の今の気持ち きっとわかるはずさ」と自分の行為と思いを肯定しているのです。
経験した者にしか分からないこの矛盾した気持ちを、今は自分が決めた道しか見えていない女性が、この男性にか他の男性にかは分かりませんが抱くことがあるだろうと確信にも似た気持ちで願っているのです。

「最初で最後のお願い」と語っているところからも、きっと幸せだった頃も男性の思いのほうが女性よりも強く、女性の我儘に付き合っているようなところがあったのではと感じさせます。

「優しくなれるほど 強くもなくて ひたむきに愚かに 抱きしめあったね」では、出ていく、と告げた女性に手放しで賛成し寄り添えるほど大人ではなく、嫌いになって別れるわけではない2人は解決策も見つからず別れを惜しむように抱きしめたのでしょう。

歌も終わりに近づき、「愛する人にはいつも照れて言えないけど 本当は誰もが伝えたい心の声よ 今こそ届け」。
ここでは、別れを受け入れ女性を諦めた男性が、やはり諦めきれないと思い直したのではないでしょうか。
明確にどんな言葉とは記されていませんが、今でも愛している女性に、付き合っていたころにも、別れる間際までも言うことができなかった「愛している」という言葉を、別れてしまった後だからこそ知ってほしいというエゴイズムが感じられます。

すると、この後繰り返される歌詞の意味が異なってきます。

「濡れてる人々と街が それでも太陽信じてる」「さまよう2人の道標(しるべ)は“希望”の2文字さ」これは、涙に濡れている男性が女性と元の関係に戻れるという希望を道標にさまよっているとは取れないでしょうか。
「むせび鳴いて 群はなれた さまよう2人の道標(しるべ)は“希望”の2文字さ」の流れでは、2人では群れとは言いがたいです。
女性が去っていったわけですから、男性をとりまく環境は変わらないはずなのに、女性を失ったことによって男性もこれまでとは違う生活を送ることになるのです。
女性は変わりたい希望(去っていく)、男性は変わらない希望(見送る)、と愛し合っている2人の道は決定的に分かれてしまっています。

しかし、冒頭の手紙のくだりを思い出してください。

女性が手紙を本当にしまっておいて、時が経って読まれたくない手紙を出した男性の気持ちを理解し、そのときにまだ男性が女性のことを思い続けていたら。
きっとそんな『もしも』は起きないだろうけれど、この手紙のくだりが冒頭にあることと、2人の関係を考察し、男性=螢子、女性=幽助と重ね合わせて聞くともしかしたらと思わされてしまうような歌詞です。
しかし、女性が意志を持って出ていくときは本当にお別れであることがほとんどです。
そもそも、幽助は3年で魔界から戻ってくると螢子に約束しているけれど、この女性と男性ははっきりと別れています。
なぜ2人が離れることになったのか明確になっていないからこそ想像を膨らまさせられ、切なさをかきたてる歌です。